お金と幸せの関係

共和党大統領候補者選のニュースが毎日のように流れている。失業率がに上方向に改善されオバマ大統領は早速それを盾に防衛戦に出ている。一見関連なさそうな政治の動向も教育現場に如実に影響を及ぼしている。 連邦政府が発表した2012年度教育予算(今年7月…

神話を真話に(3)

(前回よりの続き)ルース博士の講演の中核テーマ5つ(1月16日参照)の中で最も重要なのが、2)の「知的障害者の能力を過小評価しすぎない」と、5)の「障害者のことは障害者自身に聞く」だ。そしてこの二つに共通するのが「個人の尊重」という基本的…

神話を真話に(2)

(前回よりの続き)ルース博士の講演にはご主人で行動療法学者のスティーヴン博士も来られていた。「純粋に行動(環境)に原因がある場合には行動療法は効くけれども、心臓発作や精神疾患など心身の異常が元で行動が出ている場合には効かない。何が原因で行…

神話を真話に(1)

この金曜日、著名な精神科医による発達(知的)障害と精神保健のワークショップがあると聞いて、片道2時間かけてコナまで行って来た。結果はその甲斐のあるすぐれた内容だった。講師は20年以上の豊富な臨床経験をもとに国際的に講演活動をしているルース…

ノートテーカー三原則

年も新たまって来週から春学期が始まる。わたしの仕事が一番忙しくなるのは決まって新学期開講前後の1,2週間。というのは、ノートテーカーの仕事に応募してきた新規学生を面接し、雇用し、研修した後、彼らのスケジュールと障がい学生のそれとを見比べ、…

障がい学生サポートサービス(受けた側の経験)

以前、秋学期は週に一度ハワイ大学ヒロ校の講義を一つ受講していることを書いた(10月6日参照)。ハワイ大学職員は無料で一学期に二コマ(6単位)まで無料で授業が受けられる。先日その成績が発表になってA(優)をとったことがわかった。約3ヶ月半の間毎日仕事か…

レジリエンスその3

15日は期末試験最終日。この日をもって2011年秋学期が終了した。わたしは教師ではなく学生課の常勤職員だから冬休みの間も働くのだが。 15日の朝ラボのドアを開けたとたんニナが入ってきた。「今日テストでもあるの」と聞くと、「天文学のクラスを落第するかも…

レジリエンスその2

先週金曜日から今週の木曜日までファイナル・ウィーク。つまり毎日教室では期末試験が行われている。それで2011年秋学期は終了となる。コクア・ラボには最後のペーパーを書いたりする学生で込み合っている。みな必死か不安の形相で悲壮な感じがするが、私た…

話せばわかる社会とレジリエンス

私の好きな英単語にresilience(レジリエンス)というのがある。日本語の根性とか不屈の精神に似ているが、日本語に比べると苦しみに耐えて、という感じは英語にはあまりなく、どちらかというと人間が自然にもっている精神的肉体的治癒力の感じがある。日本…

自殺防止あれこれ

私の勤める短期大学では在籍する全学生数の約9%に何らかの障がいがある(2011年秋学期調査)。このデータは全米平均11%にやや劣るが、おそらく障がい学生サービスセンターに登録していない「もぐり」の障がい学生数を入れれば全国平均に近くなるだろう。ただ、…

合理的配慮は宝さがし

学期末が近づいてきて、クラスをパスするかどうかすれすれの線をさまよっている学生がよくラボにやってくる。「クラスをやめたいが不可はとりたくない。どうしたらいいか」、「ドロップしたくてもできないからがんばるが、パスするかどうか自信がない」、「死ぬ気…

休憩

先週と今週は中間試験とプロジェクトペーパーと、大学院の授業が忙しくブログを休憩しました。我が家のテトと一緒に昼寝します

ナチュラル・サポート

先日、上司がラボにやってきて「この学生にノートテーカーをつけてちょうだい」とファイルを見せながら言う。早速、今雇っている学生アルバイトのノートテーカー15人のスケジュールを見て、その学生のクラス時間に空きのある3人のノートテーカーを選んで連絡す…

知的障がい生徒、大学に通う

金曜日は大事なミーティングが二つあって、どちらにも出たかったのだが、結局、知的障がいのある高校生に対するサポートプログラムの方にした。これは今年からオアフ島で始まったパイロットプログラム☆で、17歳から20歳までの高校在学中☆☆の知的障がい生徒に…

障がい受容からアクションへ

私は今学期、仕事をしつつ大学院のクラスを一つ取っている。8月22日に開講して今週でもう半分が過ぎた。私は最初のクラスで自己紹介した時、「難聴なので大きな声ではっきりしゃべってください」と言い、同時に難聴者に対する離し方の注意点をイラストにした…

震災ボランティア体験記(4)−亘理町仮設カフェ開店!

うまい! "Yummy!" おいしい〜 "Deleeeecious!" ハワイ島の美味しいコーヒー、マカダミアナッツ、クッキーをどうぞ "Help yourself to delicious Big Island Coffee, Macadamia Nuts and Cookies" 紆余曲折あった(9月11日参照)ハワイ島の支援物資がようや…

障がいの受容とスティグマ*との葛藤

ある日、隣の教室で授業を終えた講師がひょっこり顔をだした。ちょっと話がしたいというので聞いて見ると、授業中に大柄な男子学生が突然イライラし始めて、いすを前後に激しくゆすったと思ったら急にばたっ、と床に転げ落ちたという。驚いて「大丈夫か、110…

アメリカの聴覚障害学生支援サービス

私は難聴者で、日本にいるときから全日本難聴者・中途失聴者団体連合会(全難聴)という自助団体に属している。その団体は各都道府県にある中途失聴者・難聴者協会と深いつながりがあって、各協会から東京の事務局へいろいろな問い合わせが来る。先日、香川県…

震災ボランティア体験記(3)ー真の支援と偽の支援

今日11日は日米両国で追悼の日。私にも心の整理がつく出来事があった。6月に宮城県で震災ボランティアしたことがきっかけで、ハワイ島に帰ってからも地元の企業や商店に震災復興のための寄付をお願いしてきた。ハワイ島には日系人が多く(25%でハワイ州一)…

ユニバーサル・デザイン教育

この二週間は新学期開講で忙しかったが、やっと落ち着いてきた。昨日の午後、たまった仕事を片付けようと思っていると、ラボに人が来た。聞けば新人の数学講師の一人で、別室の私の上司に相談があったのだが不在だったのでラボに来てみたという。「どんなこ…

守秘義務(コンフィデンシャリティ)

私の仕事の一部には、各学期前にノートテーカーになる学生アルバイトを雇って彼らをトレーニングするというのがある。明日からの新学期に備えて、先週木曜日に新規・継続アルバイトの合同ミーティングをした。各学生にクラスの割り振りをした後、ノートテー…

アサーティブ・コミュニケーション

これまで何度かアドボカシー(7月16日末尾参照)について書いたが、私はこの基本になるのがアサーティブなものの言い方だと思っている。アサーティブは英語の形容詞assertiveで、手元の古い英和辞典には「断定的な;独断的な;強情に主張する」などと、かな…

コールド・コール

8月に入りキャンパスは新入生でごった返している。カウンセラーや学生課、登録課のスタッフはてんてこ舞いだ。私は上司に頼まれて新入生用の新しいファイルの内容をチェックしているのだが、その中に必須項目の障がい名が記入されてないのがいくつかあった。…

ふたつのチーム

今週は、障がい学生が普通校での生活を満喫するには、二つの別個のチームがうまく連携・機能することが必要だと再認識した。ひとつは、学生(とその親)が中心になってつくる学生中心の支援チーム。もう一つは、学校でその学生の支援を最初にする立場にある…

ADA アウェアネス・デー

今日はADA(Americans with Disabilities Act of 1990=障害を持つアメリカ国民法)が制定されて21周年の記念日。ヒロ市内の東部ハワイ郡高齢者・障害者福祉会館で記念式典とパーティーをかねたオープンハウスがあった ハワイ郡長、ハワイ州長などからの祝辞が…

ボトム・アップの障がい福祉

障がい学生サービスセンターで働く私は、大学の組織からいうと学生サービス部の中のカウンセリング課に属していることになる。教官たちが休みの今が一番忙しい。というのは新学期を控え、新入生のオリエンテーションとガイダンスがあるからだ。6月から8月…

アイ・ステートメント−I Statement

コクア・ラボは、大学が夏休みでも通年営業している。さすがに訪れる学生は少ないがそれでも毎日何人かが顔を見せる。昨日、農業学専攻のチャーリー(5月8日参照)がやってきて、応募した奨学金がもらえることになったという。ラボにいたスタッフみんなで「…

ぜいたくな悩み

難聴のお子さんがいるお母さんから先日メールをいただいた。「聴覚障害児教育にはいろいろな考え方があってどれを信じていいのかわからない」という。つまり、1)手話は言語習得の妨げになるから徹底した口話(スピーチ)教育がよい、2)絵や写真、身体表現…

震災ボランティア体験記(2)ー歴史に学ぶ

津波で押し倒されて途中でちぎれた海岸の松並木。地元Y町歴史研究家のKさんによればこの松林は第二次世界大戦前まではこの写真を撮ったあたりまで続く奥行きのあるうっそうとした松の「森」だった。戦後、引き上げ兵などのため新しい住宅が必要となったが山…

震災ボランティア体験記(1)−助ける者と助けられる者

二週間ちょっと日本へ帰省していた。そのうちの一週間は、仙台近くのW町で震災復興のためのボランティアをした。そこへ着くまでの私は、福祉の勉強や仕事の経験を生かして避難所や仮設住宅にいる被災者の方や障がい者のサポートのお手伝いのような仕事ができ…