アドボカシー

重度障害者の発言力

新しい上司が着任して引継ぎ事項を手伝っている間にあれよあれよと春学期が終了してしまった。終了直前の週は、秋学期のクラスを登録したり、ノートテーカーや手話通訳などの援助サービスを要求する障害学生がたくさんラボを訪ねた。そのうちの3人、ケオ、…

「障害者らしく」ない障害者

ある日ラボに学生が来て、「隣の教室の授業が始まるまで、廊下で座って待ちたいのでいすを貸してくれないか」と言う。見たことのない顔だったので「障害学生サービスセンターに登録してますか?」と聞いた。ラボの備品を見知らぬ人に貸せないし、廊下にいす…

未知の障害にチャレンジ

アメリカの大学で障害学生サービスセンターのサポートを受けるには、学生自ら1)障害のあることを申し出て、2)医師や心理士やソーシャルワーカーなど有資格の専門家からその証明をもらって提出すること、の二つが必要である。これはADA☆によって規定されて…

アグネスのアドボカシー力

3日は今年度最後の授業だった。これから一週間は期末試験週間となって10日に2011年度が終わる。その後約3ヶ月、学生と教師は長い夏休みに入る(が、私は通年勤務なので夏も働く)。 授業最終日に学生が次々にラボに来て「ハブ・ア・グレイト・サマー」(良い…

たかが言葉、されど言葉(3)

2月11,12日についで障害関連の言葉を考察する第3回目。昨日、上司がラボへ来て「最近、うちの住所宛先が問題になっているのよね」と言い出した。何でも、封筒や便箋にあらかじめ印刷されている「障害学生サービスセンター」の中の「障害」が気に障り、その…

17歳の処世術

高校の卒業式まであと一ヶ月余り。ハワイ島の高校では、特殊教育を受ける12年生☆の卒業後の進路をまとめるミーティング☆☆の追い込みに入っている。今週、ある高校で特別支援学級プログラム☆☆☆を受けている女生徒のミーティングに出かけた。 生徒はマギーとい…

トラウマとリハビリテーションーレジリエンスその4

「目は口ほどにものを言い」とか「40になったら顔に責任を持て」とか、顔は人格とか意思を表す大事な体の部分。そこに障害をもつということは他の部分に障害をもつより厳しいチャレンジに向き合うということだろう。先週ある高校の特殊教育学級を訪れたと…

ナチュラル・サポート

先日、上司がラボにやってきて「この学生にノートテーカーをつけてちょうだい」とファイルを見せながら言う。早速、今雇っている学生アルバイトのノートテーカー15人のスケジュールを見て、その学生のクラス時間に空きのある3人のノートテーカーを選んで連絡す…

障がい受容からアクションへ

私は今学期、仕事をしつつ大学院のクラスを一つ取っている。8月22日に開講して今週でもう半分が過ぎた。私は最初のクラスで自己紹介した時、「難聴なので大きな声ではっきりしゃべってください」と言い、同時に難聴者に対する離し方の注意点をイラストにした…

アサーティブ・コミュニケーション

これまで何度かアドボカシー(7月16日末尾参照)について書いたが、私はこの基本になるのがアサーティブなものの言い方だと思っている。アサーティブは英語の形容詞assertiveで、手元の古い英和辞典には「断定的な;独断的な;強情に主張する」などと、かな…

ふたつのチーム

今週は、障がい学生が普通校での生活を満喫するには、二つの別個のチームがうまく連携・機能することが必要だと再認識した。ひとつは、学生(とその親)が中心になってつくる学生中心の支援チーム。もう一つは、学校でその学生の支援を最初にする立場にある…

言うべきか言わざるべきか

今朝、ラボのオープン前にネットをみながら朝食のパンをかじっていると、ドアのガラス窓越しに覗く目があった。応対してみるといつもは見ない顔。だが両目に涙をうるませて今にも感極まりそうだ。「あなたミホ?ちょっと話を聞いてくれない?」という。で、…

アドボカシーの三歩目と四歩目

前号で、アドボカシーの最初の二歩について書いた。最初の一歩が障がい者自身が不満や要望を訴えること、二歩目がそれを最初に聞くカウンセラーなどの専門家(または近い家族・友人でもいい)がしかるべき判断と行動をとること。でもアドボカシーはここで終…

アドボカシーの最初の二歩

テトとモコの昼寝→ 先日、自分の仕事がいかに障がい者の心の健康維持に一役買っているか、思い知らされるいい「事件」があった。 ある朝、コクア・ラボに精神障がいのある学生ローラがやってきて、感想文の添削結果を私に見せた。真っ赤に直されていて8点満点…