合理的配慮

隠された障害

インターンをしていた大学院時代を入れると、かれこれ15年以上障害者の支援に関わってきたが、何年たっても難しい(大事)と思うのは、表向きの障害名に惑わされずに、障害者個人の実生活上の真の「障壁」を発見することである。例えば、ヒロのカレッジには現在…

延長テスト時間

アメリカの大学で、障害があると自認する学生の約4割までに学習障害があるというデータがある。この数字は私の勤務場所にも当てはまる。そして学習障害のある学生のほとんどが「テスト時間の延長」という合理的配慮(アコモデーション)を受けている。これは例え…

ノートテーカー三原則

年も新たまって来週から春学期が始まる。わたしの仕事が一番忙しくなるのは決まって新学期開講前後の1,2週間。というのは、ノートテーカーの仕事に応募してきた新規学生を面接し、雇用し、研修した後、彼らのスケジュールと障がい学生のそれとを見比べ、…

障がい学生サポートサービス(受けた側の経験)

以前、秋学期は週に一度ハワイ大学ヒロ校の講義を一つ受講していることを書いた(10月6日参照)。ハワイ大学職員は無料で一学期に二コマ(6単位)まで無料で授業が受けられる。先日その成績が発表になってA(優)をとったことがわかった。約3ヶ月半の間毎日仕事か…

レジリエンスその3

15日は期末試験最終日。この日をもって2011年秋学期が終了した。わたしは教師ではなく学生課の常勤職員だから冬休みの間も働くのだが。 15日の朝ラボのドアを開けたとたんニナが入ってきた。「今日テストでもあるの」と聞くと、「天文学のクラスを落第するかも…

合理的配慮は宝さがし

学期末が近づいてきて、クラスをパスするかどうかすれすれの線をさまよっている学生がよくラボにやってくる。「クラスをやめたいが不可はとりたくない。どうしたらいいか」、「ドロップしたくてもできないからがんばるが、パスするかどうか自信がない」、「死ぬ気…

ユニバーサル・デザイン教育

この二週間は新学期開講で忙しかったが、やっと落ち着いてきた。昨日の午後、たまった仕事を片付けようと思っていると、ラボに人が来た。聞けば新人の数学講師の一人で、別室の私の上司に相談があったのだが不在だったのでラボに来てみたという。「どんなこ…

守秘義務(コンフィデンシャリティ)

私の仕事の一部には、各学期前にノートテーカーになる学生アルバイトを雇って彼らをトレーニングするというのがある。明日からの新学期に備えて、先週木曜日に新規・継続アルバイトの合同ミーティングをした。各学生にクラスの割り振りをした後、ノートテー…

ECHO

前回紹介のECHO(エコー)。声が漏れない特別なマスクをして、聞こえてくる言葉をそのままリピートすると、コンピューターのスクリーンに文字表示される。Dragon Naturally Speakingという音声認識システムを利用している。 ろうの学生(左)が、エコーの文…

合理的配慮と過重負担のバランス

手前味噌な話だが、最近自分の障がいを身近に感じる「出会い」がいくつかあった。一人は日本で障がい学生のサポートをテーマに研究されている大学の方。このブログが縁で知り合ったのだが、ハワイがお気に入りでなんと難聴者だという。この8月から3ヶ月間ホ…

記憶障がいとノートテイカー

ボルケーノ村からヒロタウンへ行く通勤途中で 前回紹介したアンディ君の第二話。彼はテスト時の配慮のほか、通常の講義の時にはノートテーキング・サービスというのを受けている。つまり自分の代わりにノートをとってくれる人がいるのだが、これは障がい学生…

「合理的配慮」の合理性

国連障がい者権利条約の中で、日本語になかなかうまく訳せない概念に「合理的配慮」がある。日本でもどういう「配慮」ならば「合理的」なのか、争点になっているときく。 配慮の仕方が最もわかりやすいのは、外から目に見える障がい、たとえば全盲の人に対する盲導…