知的障がい生徒、大学に通う

 金曜日は大事なミーティングが二つあって、どちらにも出たかったのだが、結局、知的障がいのある高校生に対するサポートプログラムの方にした。これは今年からオアフ島で始まったパイロットプログラムで、17歳から20歳までの高校在学中☆☆の知的障がい生徒に対し、大学のクラスも同時にとれるようにするというものだ。今学期より、ホノルルのコミュニティカレッジで4人の高校生から始まった。このプログラムを指揮しているのがハワイ大学マノア校にある障がい学研究所(Center on Disability Studies)。ここの研究員が二人ヒロのコミュニティカレッジに来て、「来年からヒロの高校でも始めたい」ということで地元の高校の特殊教育の先生、知的障がい者のサポートをする政府の機関や非営利団体の職員らが集まった。

カリー・フェザント(Kalij Phesant)。キジ科の鳥でヒマラヤ原産。ボルケーノ村にはそこら中にいる。今日も歩いていると。。。

  細かいことは未定だが、すでに始まっているホノルルの高校生4人は早くも学生生活をエンジョイしているらしい。それを支えているのがプログラムサポート担当のスタッフで、大学のキャンパス内に知的障がいの学生が集まれる部屋を確保し、毎日彼らのサポートをしている。その内容の一部としては、クラスの選択・登録の援助、効果的な勉強方などのセミナーの開催、講師からの質問や不安に対して応えるなどなど。とくに強調していたのは学生生活を支える家族の援助と励ましが不可欠、という点。つまり生徒本人のやる気と周りのサポートが一致していなければならない、ということだ。
 ヒロでは、これまでにも何回かミーティングが開かれていて、今後も生徒の選別やら支援方法など関して、来年のプログラム実施直前まで継続的に関係者間の集まりがもたれる。ヒロのコミュニティカレッジはその知的障がい生徒の受け皿として、さらなるサポート体制を整えなければならない。
 2008年に大学教育機会均等法(筆者意訳)(Higher Education Opportunity Act)が制定され、これをもとに、知的障がい者の大学教育参加を促すプログラムに対する助成金が全米に出されている。ハワイのパイロットプログラムはこの法律のおかげでできたものだ。が、2007年まで10年間住んでいたサンフランシスコでは、知的障がい者のサポート機関で働いていたのだが、私のクライアントには働きながら大学に通っていた人がすでに何人もいた。それも卒業するとか学位をとるとかいうのではなく、人生を豊かに生きるために気に入ったクラスを一つ二つとるのである。法律に先んじて人生をエンジョイしている知的障がい者がここにはいたことを懐かしく思い出した。

このパイロットプログラムのホームページ(英語)http://www.cds.hawaii.edu/deis/

☆☆ハワイ州では特殊教育を受けている高校生で、特に重度の障がいのある生徒は、認められれば21歳まで高校に在学してよい権利がある。米本土の多くの州では22歳まで延長を認めている。障がいのない健常生徒は高校一年生(15歳)から高校に通いつつ大学の講義が受けられる。履修した単位は高校と大学の単位の両方に考慮される。